917/10K 1972 Can-Am


5リッター・スポーツ・カー・クラス用に開発され、1969年にデビューした 917は、1970年及び 71年のルマン24時間において総合優勝を記録するなど大成功を収めましたが、1972のレギュレーション変更により、グループ5の排気量が3リッター以下に制限されると、ポルシェは 917の活動舞台を排気量制限のないCan-Amに移しました。オープン2座席の車両で競われる Can-Am用に仕立てられた 917/10Kの空冷水平対向 12気筒、5リッター・エンジンは、片側バンクに1基ずつ装備された計2基の KKK製ターボ・チャージャーにより、850馬力以上を発揮したといいます。George Follmer は、この917/10ターボで 1972年の Can-Amシリーズ・チャンピオンを獲得しています。

この作品は UMIの1/24レジン・キットを改造したものです。UMIの 917/10は、シャーシ部分をプラ板等で自作する必要がありますが、今回はレジンで一体成形された肉厚なボディ内側を大幅に削り込み、フジミの 917のシャーシを組み込んで利用しています。そのおかげでステアリング機構を得るとともに、エンジンが搭載できるようになったので、カウル部分を脱着式に改造してみました。もともとボディのシンメトリーが正確にとれていないようなので、エンジン側の機器とカウル側のダクト類の位置関係を合わせるため、カウル側のダクト類をすべて作り直しています。キットに付属しているエンジンも決して見栄えのするものではないので、フジミのキットをベースにエンジン本体及びターボ・チャージャー等を自作して仕上げています。

917/10は、Formula Canada Racing Car Models から、同じ1/24スケールのレジン・キットが発売されており、市販のデカールもある程度種類が揃うので、様々な仕様を楽しむことができます。
ライバルを足元にも寄せ付けない圧倒的な強さが災いし、レギュレーションの変更という手段で、ヨーロッパのレースから締め出された 917ですが、北米においても常勝マクラーレンを完膚なきまでに打ち砕き、お馴染みのオレンジ色のレーシング・カーはサーキットから完全に姿を消してしまいました。